余所者-よそもの-【 3 】




「ほら、飯だ、ブウ!」


とある日。

犬の飯を用意する先輩。


「あれ?犬の名前チビじゃなかったでしたっけ」

「拾ったときはあんなにチビだったのによー。ブクブクブクブク肥えやがって。デカくなったから”ブウ”にしたんだ」

「犬の改名とか、初めて聞いたっすよ」


ガツガツと飯を食う犬を二人で見ていると、ケタケタと笑っていた先輩がふいに真顔になった。


「なぁ。お前さー。紫藤 怜って知ってるか?」

「ああ、聞いたことあるっすね。シトウで最近ずいぶん有名だとか」

「やっぱさすがのお前でも知ってるよなー」

「その人がどうしたんですか?」


僕がそう尋ねると、先輩はニヒヒと悪だくみの顔をする。


「近いうちによぉ。そいつ、ブチかましてやるんだ。デカい面してやがっからよぉ」

「へぇ」

「お前、混ざるか?」

「混ざる?」

「上手くいきゃ、一躍有名人だぞぉ?」


僕は間髪いれずに答えた。


「いや、いいっす。僕そういうの向いてないんで」

「そうか」

「でも面白そうなので、また話でも聞かせてください」


断ったものの。

その日帰ってから、ずっと気になってた。


……紫藤って、どんなヤツだろう。

ブチかますって、何をするんだろう。