余所者-よそもの-【 3 】



それから数ヵ月。

先輩は高校を卒業すると、バイク屋を始めた。

修理専門の、主に改造に特化した店らしい。


久しぶりに先輩と街中で偶然すれ違った僕は、ほとんど拉致みたいな形で店まで連れて来られた。


「……なんもねぇっすね」


雑草の生い茂る、空地の奥。

倉庫みたいな殺風景な空間。

そこにバイク数台と工具が無造作に散らかっている。


オイルの匂いに包まれながら、先輩と話していると、――ワン!と奥から犬の鳴き声がした。


「犬……?」

「そー。この間拾ったんだ」


吠える犬の声を辿って、奥を覗き込めば。


水道の蛇口に繋がれた、一匹の子犬がいた。

拾ってそのままなのか、ずいぶん小汚い。


「ここで飼うっすか?」

「おうよ。名前は”チビ”だ」


この先輩が、犬をまともに飼えると思えない。

そう思った僕は、この店に出入りをするようになった。


すれ違えば遊ぶ程度の仲が、気がつけば。

犬を口実にして、僕の方から足げく通うようになっていた。