「……だぁ!重たかった!」
そう言って腹から出したのはビール。
……ビールの、生樽一つ。
「どうだケンタロウ!これが男だ!」
「いや、あの、先輩」
「なんだ、びっくりして言葉も出ねぇか!」
カッカッカと豪快に笑う先輩に、僕は冷めた声をかける。
「これ業務用っすから、なんか専用の機械に繋がないと飲めないっすよ」
「あ?んだとぉ?」
「確かにこれ一つで缶ビール何十杯分とありますけどね。飲めなきゃただの鉄の塊っす」
「……バッキャロウ!」
先輩のグーパンが、二の腕に入る。
「……痛って!」
「こじ開ける方法を考えろ!」
「どうやって……」
「とりあえず倉庫運ぼうぜー」
そう言って生樽を置いたまま、歩き出す先輩。
「え、これ持つの僕っすか!?」
「店からここまでは俺が運んでやったろうが!」
「僕、制服なんですって!」
「すぐだ!走れケンタロウ!」
「もう……!」
いつも遊ぶ仲じゃない。
だけどこうやって、どこかネジのぶっ飛んだ先輩とたまに過ごす時間は。
極めて平凡で、普通な僕にとって。
少し刺激的で、楽しかった。


