余所者-よそもの-【 3 】




「……だぁ!重たかった!」


そう言って腹から出したのはビール。

……ビールの、生樽一つ。


「どうだケンタロウ!これが男だ!」

「いや、あの、先輩」

「なんだ、びっくりして言葉も出ねぇか!」


カッカッカと豪快に笑う先輩に、僕は冷めた声をかける。


「これ業務用っすから、なんか専用の機械に繋がないと飲めないっすよ」

「あ?んだとぉ?」

「確かにこれ一つで缶ビール何十杯分とありますけどね。飲めなきゃただの鉄の塊っす」

「……バッキャロウ!」


先輩のグーパンが、二の腕に入る。


「……痛って!」

「こじ開ける方法を考えろ!」

「どうやって……」

「とりあえず倉庫運ぼうぜー」


そう言って生樽を置いたまま、歩き出す先輩。


「え、これ持つの僕っすか!?」

「店からここまでは俺が運んでやったろうが!」

「僕、制服なんですって!」

「すぐだ!走れケンタロウ!」

「もう……!」


いつも遊ぶ仲じゃない。

だけどこうやって、どこかネジのぶっ飛んだ先輩とたまに過ごす時間は。


極めて平凡で、普通な僕にとって。

少し刺激的で、楽しかった。