「最低5本は持って来いよ」
そう言ってケケケ……とすきっ歯を覗かせながら笑う先輩を横目でこっそりと睨みつけながら、目当ての店へと入った。
店には、小さなテレビに釘付けになっている老人が一人、店番をしていた。
僕はバレないかドキドキしながら、慌てて制服のポケットに酒を詰め込む。
「………」
ゆっくりと店を出てから、ダッシュで先輩の元まで戻った。
「おつかれさん!どうよ、収穫は」
「言われたとおり……」
「ッカー!シケてんなぁ!」
キッチリ五本持ってきたのに。
先輩は「しゃーねぇなぁ」と言いながら、身体を伸ばしていた。
「見てろぉ?ケンタロウ。俺が手本見してやっからよぉ」
「行ってらっしゃいっす」
踵を踏み潰した靴裏を地面に擦りながら、のんびりと歩いて店に入る先輩。
僕は電柱に隠れながら、先輩を待った。
先輩は、ものの数秒で戻ってきた。
「……え?」
ノッシノッシと戻ってきた先輩。
腹がダルマのように膨れている。


