「あんたは地下の売人だ。これが無害なワケがない」
「怪しいと思うならお前の腹で試せ」
「……嫌っすよ」
「勇気がないなら、あの人にそのまま与えろ」
「………」
言葉が詰まった僕は、押し付けられた袋をなんとなく開いた。
中にはたくさんの粉や、錠剤が詰まっていた。
その中の一つを手に取れば、地下の売人が勝手に説明を始める。
「それは差し替え用」
「差し替え?」
「あの水に入ってるネタとすり替えろ。見た目は合わせてある」
「………」
「たぶん、合ってる」
……たぶん?
待て。
この男は、いつ、どうやって知った。
紫藤さんが水にドラッグを仕込んでいることを。
それだけじゃない。
ドラッグの正体までも。
「………」
僕は驚きを隠せなかった。
本当に、言う通りだった。
目の前にあるそれは、紫藤さんが仕込んでるものと見間違えるほど、色も形も全く同じ。
「残りの薬は、あの人を少しでも楽にするためのものだ。飲ませ方は書いてある」
……何者だ、コイツ。
戸惑いのまま、地下の売人を見た。


