吐き捨てて、バイクに跨ろうと足先の方向を変えたときだった。
――ガサ……
胸元に、何かが押しつけられる感触がした。
見れば、茶色い紙袋だった。
「……なんです、これ」
「薬だ」
「クスリ?」
何のつもりだ、と睨みつける。
「あの人に、与えてほしい」
「は?」
「ドラッグの苦痛を和らげる。全く無害のものだ」
「………」
「意識もとびとびだったし、まともに眠れてないはずなんだ。栄養もとれてない」
「意味がわかりません」
この男はドラッグをさばく側の人間。
それがまるで、ドラッグに蝕まれた人間を救う薬を用意したとでも言っている。


