「で、話とは?」
「わかってるから従ったんだろ」
フルフェイスのメットを取り、白い髪を広げながらこちらに向き合う地下の売人。
その左頬は赤紫色になって腫れていた。
「……昨日、露天街とモメたようで」
話を逸らせば、地下の売人は白けた顔つきをする。
「そんな話はどうでもいい」
「僕はソッチの話の方が興味あります」
「何もどうもなっちゃいない。馬鹿が区域で多少暴れただけだ」
「今のZ地区にとっては、ひとたまりもなかったのでは?」
地下の売人は無邪気に笑った。
「全然?」
まぁ、シトウの僕に話すことはないか。
だったら、少しは話になることを聞いてみようか。
「なぜ、カナコさんを求めるんです?」
ずっと気になっていた。
なぜ、この男はカナコさんを攫ったのか。
最初こそ、シトウへの怨恨かと思っていた。
だけど違った。
どうもこの男は、純粋にカナコさんのことが欲しいらしい。
まして、紫藤さんの元で壊されるカナコさんを、必死で救おうとしている。
……必死で。


