シャワーの音が止まるのと同時に、僕はリビドーを出た。
施錠して、周囲を張る仲間を一瞥しながら、愛車に跨る。
バイクを走らせ、帰路についていた。
信号待ちの中。
縦列する車を縫い、一台のバイクが、僕の隣に止まった。
ふいに視線を向ければ、フルフェイスのメットを被った男が二人乗っている。
「………」
そこで信号が青に変わった。
嫌な予感がして、グリップを思いっきりひねった。
――ブオン……!
走り出したと同時。
何かが背中に強く当たり、車体が大きく揺れる。
ハンドルを取られかけ、慌てて重心を立て直す。
その隙に、隣を走っていたバイクだけが、そのまま僕を追い越して走り去っていった。
――後部シートに、誰も乗っていない。
気づけば僕のバイクの後部シートに、誰かが跨っている。
「……誰だ」
声を低く尋ねる。
返ってきた声には、聞き覚えがあった。
「僕だ」
……地下の売人だった。


