余所者-よそもの-【 3 】



運命は残酷だ。

傷つけたくなかったのに。

だから遠ざけたのに。



そんな、紫藤さんの願いをあざ笑うかのように、カナコさんは街の混沌に呑み込まれていってしまった。


カナコさんが地下の売人に攫われた。


その時の紫藤さんは、見ていられないほど取り乱していた。

何度も「助ける」「今度こそ」と狂ったように繰り返しながら、カナコさんを探した。



自分が手放したこと。

その選択を強く、悔いるかのように。



それは奇しくも。

カナコさんに紫藤さんを『シド』と呼ばせた、多夜さんの願いが。

別の形で叶った瞬間でもあった。



悲劇は、繰り返された。

紫藤さんは知らないうちに、カエデさんとの歪な愛を、もう一度なぞっていた。


世界を狭め、依存させ。

意識を閉じ込める。


そして。

壊した本人が、その傷を治していく。


それは、カエデさんから受けた自分の傷を。

その痛みを、カナコさんに植え付けるかのようだった。


わかってほしいみたいに。

自分と同じ痛みを、カナコさんに与える。



……壊れたのは、愛だったのか、人だったのか。

もう、僕にはわからない。