余所者-よそもの-【 3 】



おかしな話だ。

紫藤さんは、どうしてもカナコさんを救いたい。


その気持ちは多分、彼女と出会い、瑞生さんの元に彼女を預けた頃から変わっていない。


紫藤さんはずっと。

彼女が傷つかないように、シトウに見張りを置き、遠くから守っていた。


尋ねたことがある。

『どうしてカナコさんをシトウで面倒見ないんです?』

そんなに気になるのなら、シトウに引き入れればいいのに。


その時の紫藤さんは、自嘲するかのように、こう言った。


『俺のそばが一番危ねぇだろうが』


気になる女に素直に手を伸ばすことができないのは、カエデさんという過去があるからだ。

自分の傷だって、広げたくなかったんだろう。


そんな中で、カナコさんの男が死に。

紫藤さんはとうとう、彼女に触れた。


曖昧にしかできない紫藤さんとの関係を、彼女は最終的に望まなかった。

紫藤さんは『それでいい』と言っていた。


我慢して、我慢して。

手を伸ばしかけて。


それでも遠ざけることを選んでいたのに。


今度はカエデさんが死に。

街で暴れ狂う紫藤さんに、カナコさんは『一人にはしない』と手を差し伸べた。


それでも、紫藤さんは彼女の手を突っぱねた。



今にして思えば。

あれが、紫藤さんの最後の意志だったんじゃないかと思う。