余所者-よそもの-【 3 】




「この短時間でデックを突破するか……シトウのどこに、あんなバケモノ隠れてたんだろ」



地下の売人はそう呟くと、ポケットに手を差し込んだ。

そこから取り出したものを、わずかなスナップと共にシャキッ、と金属音を鳴らす。

折り畳まれていたそれが、勢いよく開いた。


出てきたのは、刃。

見た目も感触もとても覚えがある、冷たいナイフが地下の売人の手に握られていた。



「……ん?どうしたの?」


地下の売人が、肩の上から私を見下ろす。

私は必死で彼の服の袖を掴みながら、力いっぱい睨みつけた。



「やめて。リンコさんを傷つけたら……絶対に許さない!!」



叫んだ瞬間、彼はどういうわけか。

とても、悲しそうな顔をする。



「……え?『許さない』って、僕のこと、嫌いになっちゃうの?」

「………」

「いやだっ!!」



頬を膨らませて、ブンブンと首を横に振る。

まるで子供みたいな仕草に呆気にとられ、思わず手の力が緩んで、彼の袖を手放した。


……なんなの、この、人……。


そうして、――ダンッ、と。

地面を蹴り上げ、走り出した彼の手には。



もう、ナイフは握られていなかった。