余所者-よそもの-【 3 】




「お疲れ様っす」



飯の入った袋を手に下げた紫藤さんは「ああ」と一言返事をすると、カウンターの内側に入っていく。


「野間。傷薬はどこにある」

「ああ、後ろの引き出しっすね」

「ここか」

「うす」


消毒液や絆創膏、ガーゼや包帯のまとまったポーチが、カウンター台に置かれる。

続けて冷蔵庫を開けると、500mlのペットボトルを何本も台の上に並べていく。


ずらりと並んだボトルのキャップを一本ずつ、淡々と外した。

後ろの引き出しから小さな袋を摘み上げると、

「………」

無言のまま、水の中に、何かを加えていく。


「紫藤さん」

「なんだ」

「いい加減……それ、やめませんか」

「………」


紫藤さんはチラリと僕を一瞥すると、何も聞こえてないように手元だけを静かに動かし続けた。

作業を終えると、傷薬と水と食事を抱える。


これから入る扉の先。

じっと見つめる紫藤さんの目尻は柔らかく下がり、口元はわずかに緩んだ。


会いたくて、会いたくて、仕方がない。

そんな顔をつくってから。


――カチャン、と鍵を開き。

扉の中に、消えていく。