余所者-よそもの-【 3 】



僕はカウンターに掛けて、スマホに絶えず入ってくる街の情報を整理していた。


僕は――『シトウの眼』。

どんな情報も、僕を介す。


そろそろ、紫藤さんがリビドーに帰ってくる。


仲間内のチャットをスクロールしていくと、気になる情報が目に飛び込んできた。


「………」


昨日、Z地区と露天街で騒動があったらしい。

いつもの小競り合いか?


雑多に散らばった情報を、頭の中でひとつずつ整理していく。


露天街がZ地区の拠点に放火し、喧嘩をしかけた。

最終的に露天街が手を引き、事態は収束……か。


「……変だな」


漏れた独り言。

頭の中に統合された情報に違和感があった。


シトウとやり合った翌日。

まるでボロボロのZ地区を更に畳みかけるようなタイミングでの、露天街の攻撃。


アイツら、Z地区の何を狙って抗争をしかけた。

なぜ手を引いた。


必要な情報が不足している。


仲間には、『起こった出来事と事実だけを書きこめ』と指示しているにも関わらず、個人的な憶測や希望的観測だけがこれでもかと溢れていた。

Z地区は終わる。
Z地区はいつでも壊せる。
地下の売人も終わりだ。

必要な情報の中に、邪魔なノイズが大量に紛れ込んでいる。

静かに舌打ちをしたときだった。


――リン、と鈴の音と共に、紫藤さんが帰ってきた。