僕はカウンターに掛けて、スマホに絶えず入ってくる街の情報を整理していた。
僕は――『シトウの眼』。
どんな情報も、僕を介す。
そろそろ、紫藤さんがリビドーに帰ってくる。
仲間内のチャットをスクロールしていくと、気になる情報が目に飛び込んできた。
「………」
昨日、Z地区と露天街で騒動があったらしい。
いつもの小競り合いか?
雑多に散らばった情報を、頭の中でひとつずつ整理していく。
露天街がZ地区の拠点に放火し、喧嘩をしかけた。
最終的に露天街が手を引き、事態は収束……か。
「……変だな」
漏れた独り言。
頭の中に統合された情報に違和感があった。
シトウとやり合った翌日。
まるでボロボロのZ地区を更に畳みかけるようなタイミングでの、露天街の攻撃。
アイツら、Z地区の何を狙って抗争をしかけた。
なぜ手を引いた。
必要な情報が不足している。
仲間には、『起こった出来事と事実だけを書きこめ』と指示しているにも関わらず、個人的な憶測や希望的観測だけがこれでもかと溢れていた。
Z地区は終わる。
Z地区はいつでも壊せる。
地下の売人も終わりだ。
必要な情報の中に、邪魔なノイズが大量に紛れ込んでいる。
静かに舌打ちをしたときだった。
――リン、と鈴の音と共に、紫藤さんが帰ってきた。


