今日で、二日。
地下の売人がここ――Re:bidoへ侵入してからというもの。
紫藤さんはここへの警戒を強めた。
どれだけ街で重要なことが起きても、ここから幹部の誰かが離れることはなくなった。
自ずと、僕がここにいる時間も長くなる。
最奥の扉。
壊された鍵は新しいものが取り付け直され、固く閉ざしていた。
「カナコさん」
「………」
「カナコさん」
「……なに、野間くん」
扉越しに聞こえてきた、返事。
僕は、それだけで安心した。
「今日は、静かっすね。眠ってたんですか?」
「うん。まだ眠い」
僕は一昨日、久しぶりに彼女の姿を見た。
その光景が、頭から離れない。
扉の中で何か起きているのか、知っていたはずなのに。
目で見た記憶というのは、心の中の余計なものを引っ張り上げてくる。
「今日、外は……晴れっす」
「そう」
「晴れっていっても、まだまだ寒いですけどね」
「今は……まだ冬?」
「はい。その部屋、寒くないですか?」
「平気」
「そっすか」
「野間くん」
「なんすか?」
「私、寝るね」
「………」
いつか。
このまま、彼女が目覚めない日が来てしまうんじゃないかと。
そう思ってしまう。


