「……指図をするな」
ユキは潤の手を逃れ、行き場のない怒りを込め、拳を地面に叩きつけた。
「………」
ガラス玉のように透き通った瞳は千景を正面から映し。
まるで千景の覇気ごと呑み込んだかのように、瞳の中で混ざり合わせると。
……得体の知れない妖しい光が、ここに生まれた。
「お前が、俺に従え」
――ユキは鍵で、千景は扉。
二人が手を組んだ、瞬間。
『シトウの足は三本足。どれが欠けても共倒れ』
糸冬町で、まことしやかに囁かれてきた言葉。
シトウの紫藤による支配以降。
長らく続いた均衡が、今……
――初めて、崩れた。


