「僕とお前。どちらが死んでも、詰む」
千景のその言葉に、ユキは千景をまっすぐと見返した。
二人の視線が、静かに交わる。
「お前は――鍵だ。あの人をあの地獄から引きずりだすための」
AnBarを守りたいカナコは。
『帰る場所』をユキが守りきれない限り、あそこから動かない。
「僕は――扉。あの人が帰るための道を切り拓く」
居場所はわかっている。
帰る場所もわかってる。
Z地区の人員も、この力も、命すら。
全部惜しみなく使う。
そして、千景は何より――
「紫藤のところを出たあとは、僕があの人の中のドラッグを抜く。あの人がもう一度心から笑えるように」
……開いた扉の先。
カナコがもう一度笑って歩むことのできる道を、つくる。
「だから、黙って僕に従え」
千景は、Z地区を束ねる人間の、禍々しい覇気を放った。


