「お前は……かぁこに、身勝手に……触れた」
「………」
「消えない傷を……アイツの身体にっ……心に、残した……っ!!」
その怒りを真正面から浴びながら。
千景は、ただ困惑していた。
「………」
なぜ、コイツは。
自分が紫藤に向けている感情を。
自分が紫藤に吐き出したい言葉を。
どうして、自分に向けてくるのか。
わからなくて、不思議で、呆然とした。
「お前……何を、言ってる」
「お前のせいで……!!」
ユキの拳が、千景の横っ面にめり込んだ。
その言葉に。
昨日、リビドーで味わった挫折。
どうしようもない無力感を、思い出す。
「――僕のせい?」
彼女があんな風に傷だらけなのは。
彼女があんな風になっても、僕の手を取ってくれなかったのは。
――『一緒に行けなくて、ごめんね』
「……お前のせいだろうが――ッ!!!」
たまらず、千景はユキを殴った。
殴って、しまった。


