余所者-よそもの-【 3 】



千景とユキが、静かに対峙した。

すると、デックは突然とてつもない力を得たように暴れ出す。


デックは焦った。

喉が、ひゅっと鳴る。


今、千景は万全の状態じゃない。

以前、彼はデックに零していた。


『アイツは強い』、と。

千景がこれまでに『強い』と誰かを評価したのは、デックの知る限りでは紫藤と、あの男――ユキの、二人だけ。


今の身体でやり合えば、いくら千景でも負ける可能性があると思った。

だから、なんとしても自分が盾にならなければならない。


「――チカ様ァアア!!!」


ひと際強い力でリンコを殴りつけ、地下の売人に駆け寄った。


「……行かせるかッ!!」


リンコは猛追し、デックの足を止めた。



――そのころには、もう。



「……ユキちゃん?」


リンコからは、二人の姿が見えなかった。


姿が、消えた……?

どこに行ったっていうの。


「………」

やっぱりだ、とリンコは思う。

作戦と違う。


ユキを探す視界の隅。

僅かに動いた、潤の影。



……頼んだわよ、潤。

リンコは心の中でそう託すと、決死の形相のデックの拳を、その顔面に食らった。