デックの頭の中は疑問だらけ。
なぜ、露天街がZ地区に抗争をけしかけた?
なぜ、コイツと露天街が組んでる?
なぜ、コイツは、こんなに――……
「よそ見してんじゃねぇッ!!」
……殺(ヤ)る気マンマンなんだ?
デックの頭の中に、嫌な予感が渦巻いた。
額から、冷や汗がたらりと滴る。
これは少し、マズイかもしれない。
状況がわからなくても、なんとなくそんな気がした。
執拗に迫ってくるリンコの拳に応えながら、視線はきょろきょろと千景の姿を探した。
――まさか、チカ様……一人じゃないよねぇ。
すると、遠く後方から探していた声が微かに届いた。
「デック」
振り返ると、千景がそこにいた。
よかった。
自分から距離はさほど離れていない。
ホッ、と胸を撫でおろした、その瞬間。
バキィ……!と横っ面に重たい拳が襲い掛かった。
デックの目の内側に、星がチカチカと泳いだ。


