南側。
リンコの戦線が大きく動いた。
デックをおもちゃ箱から遠ざけるように、露天街の面々と共にリンコ自身が前進する。
一方で。
西側のトウジが深く後退を始める。
トウジは、事前にリンコから聞かされていた。
『どうしても、自分の手でやらなきゃいけない相手がいる』
『ふん。それで?』
『ソイツが現れたとき。アタシの持ち場が手薄になる。だから、』
『……わかったよ』
トウジは託されたときの会話を思い返し、「ふっ」と笑みを零す。
無線イヤホン越しに、息を荒らげたリンコの声が滑り込む。
「今も昔も……背中を預けられるのは、トウジ。アンタしかいない」
分岐点まで足を引き、二つの路地を一人で背負うように構えたトウジ。
固く握った拳と手のひらをパンッ!と合わせた。
「行ってこい。あとは全部、俺に任せろ」


