リンコはサンコンを諭すと、前を向いた。
持ち場である南側が、やっと動く。
「さぁて。こちらもそろそろ……」
肩を鳴らしていた時だった。
迫ってくるZ地区の住人の中。
リンコは見つけた。
ひと際目立つ、背格好。
細くて、長い、高身長。
――デック。
「………」
リンコが潤の持ち場を差し替えたのは、二つ理由があった。
一つは、潤に伝えた通り。
ユキには一人、誰かをつけなければいけなかった。
二つ目の理由は――……
デックとの遭遇率が最も高いこの場所を、得るため。
事前情報で知った、デックの居場所。
おもちゃ箱を目指すなら、潤の持ち場を取るのがベストだった。
「……オイ、クソノッポ野郎ォ」
リンコはずっとこの瞬間を待っていた。
カナコがマンションから連れ去られたあの日。
大切な仲間一人守れなかった、無力で不甲斐ない自分自身にずっと吐き気がしていた。
絶対に、この手で落とし前をつける。
「今度こそお前を……ブチのめす……ッ!!!」


