余所者-よそもの-【 3 】



一番最初に動いたのは――トウジの持ち場である、西側。

騒ぎを聞きつけたZ地区の人間の数十人が、一斉に飛びかかってくる。


おもちゃ箱への道のりを塞ぐようにして、路地を埋める露天街の人間。

待ち構え、手当たり次第にぶつかっていく。


―――オオオオ……


誰のものかわからない雄叫びが、狼煙のように響き渡る中。


抑えきれなかった敵が、露天街の人間でつくった壁を突破した。



その先に、静かに待ち構える……トウジ。


高そうな金縁の眼鏡を、スッと外してポケットにねじ込み。


そして、吠えた。


「――……ォラァァァァアア!!!」


軽く放った右ストレート。

体勢を崩した相手の胸ぐらを掴み、容赦なく自身の額を叩きつける。


――ドゴォンッ!!


路地に鈍く響き渡る、骨と骨がぶつかった鈍い衝撃音。


食らった男は、崩れるように意識を失ってドサリ、と倒れ伏した。



その様子を遠目から見ていたリンコは、声を上げて笑う。


「相変わらず過ぎるわよ。頭突きのトウジ」


耳に装着したイヤホンでその声を拾ったトウジは「ハハ」と笑い返す。



「久しぶりなもんで。最初はコレで決めたかった」


そう言って、両手でオールバックを整えた。