一番最初に動いたのは――トウジの持ち場である、西側。
騒ぎを聞きつけたZ地区の人間の数十人が、一斉に飛びかかってくる。
おもちゃ箱への道のりを塞ぐようにして、路地を埋める露天街の人間。
待ち構え、手当たり次第にぶつかっていく。
―――オオオオ……
誰のものかわからない雄叫びが、狼煙のように響き渡る中。
抑えきれなかった敵が、露天街の人間でつくった壁を突破した。
その先に、静かに待ち構える……トウジ。
高そうな金縁の眼鏡を、スッと外してポケットにねじ込み。
そして、吠えた。
「――……ォラァァァァアア!!!」
軽く放った右ストレート。
体勢を崩した相手の胸ぐらを掴み、容赦なく自身の額を叩きつける。
――ドゴォンッ!!
路地に鈍く響き渡る、骨と骨がぶつかった鈍い衝撃音。
食らった男は、崩れるように意識を失ってドサリ、と倒れ伏した。
その様子を遠目から見ていたリンコは、声を上げて笑う。
「相変わらず過ぎるわよ。頭突きのトウジ」
耳に装着したイヤホンでその声を拾ったトウジは「ハハ」と笑い返す。
「久しぶりなもんで。最初はコレで決めたかった」
そう言って、両手でオールバックを整えた。


