――ガチャ。
開かれた扉のすぐ先。
まるで十年前からそこで待っていたかのように、一人の男が立っていた。
「………」
「――もう10年……音信不通。やっと連絡寄こしたと思えば、いきなり『喧嘩を手伝え』なんてな」
オールバックの、黒々とした髪。
広く、目立つ額。
ガラの悪い、金縁フレームの眼鏡。
喧嘩のたびに割るから、何度コンタクトにしろって言ったかわからない。
それでも、まだ同じ眼鏡をかけている。
何も言えないリンコ。
男は、今にも泣き出しそうに顔を歪めて、笑う。
「――相変わらず……めちゃくちゃだ、お前は」
リンコの指先が、小さく震えた。
「久しぶり。トウジ――……」


