「賛成だけど……リンちゃん一人で二カ所抑えるのは物理的に無理だ。距離が離れてる」
「………」
「一箇所でも崩れれば、全員共倒れだぞ」
……配置は、動かせない。
「わかってる。だから代理を呼んだ」
「……代理?」
潤は訝し気になってリンコを見た。
だって、この状況で。
持ち場一つ任せられる人間が……どこにいる?
「誰だ?」
「腐れ縁よ。潤ほど気が利くかはわからないけれど、とにかく強い男」
潤は重要な持ち場を、知らない誰かに預けることの是非を素早く天秤に掛けた。
「リンちゃんが信頼できる男なんだな?」
少しでも答えに迷いが見えれば、考え直そうと思った。
しかし、リンコの顔は、潤が思っていた表情とはかけ離れていた。
「……ええ。とっても」
迷いのない回答に、なぜだか、涙が滲んでいるように見えた。
潤は「わかった」と一言返し、店を出る。


