潤は地図を指しながら、これまで何度も擦り合わせた配置を、改めて読み上げた。
誰か一人でも崩れれば、全員が呑まれる。
聞き漏らしも、勘違いも許されない。
全員の返事を聞き終え、スマホで時間を確認する。
すると、後ろの方でガタ、と音がした。
全ての視線が、その一点に集中する。
ユキが――静かに、立ち上がっていた。
「今日の目的は一つだ」
吸い終わったばかりの煙草。
消しきれていない短い煙草が、灰皿の上で小さく煙を吐き続ける。
薄く立ち上る紫煙が、ユキの輪郭を溶かすように、妖しく揺れていた。
「Z地区を、獲る」
そして。
「――かぁこを、迎えに行く」
誰一人、その言葉に異論はなかった。
AnBar一同は、とっくに腹を括っていた。


