僕はぎり、と奥歯を噛みしめた。 どうして……ここまで来たのに、届かない。 持てる力の全てを、投げ打った。 何が……足りない? 何があれば、 この人を連れて帰れる。 最後に、もう一度だけママを見た。 彼女はとても申し訳なさそうな顔で、僕を見送っていた。 「………」 ――僕とデックは、その場を離れた。 わずかな望みだけを、持ち帰って。 ……野間。 多夜に次ぐ、紫藤の側近。 アイツは敵じゃない。 だけど味方にもなれない。 ――今は、まだ。