「……カナコさん。助けに来たっすか」
その一言に、考える。
なぜ、そんなことを聞く必要がある。
「今回のここへの侵入。そして、この間の抗争」
「………」
「アンタもう、ロクに手下残ってないだろ」
……だから、何だ。
「今、アンタがカナコさんをここから連れ去ったとして」
「………」
「どうやってカナコさんを守り続けますか?」
何が言いたい。
「………」
――もしかして……コイツ。
「……お前、」
疑いを言葉にしようとした、そのとき。
「野間くん……やめて」
ママがやってきた。
重い身体を壁に預けながら、肩を擦るようにこちらに向かって歩いてくる。
「お願い。千景を見逃して」
「………」
そう言ったママを見る、野間の瞳。
僕とデックを前に吊り上がっていた顔が、瞬時に歪む。
「……カナコさん」
痛々しそうにママを見つめる、その瞳。
明らかな「悲痛」がそこに宿っていた。
――間違いない。
その瞬間、疑惑が……確信に変わった。
コイツも――ママを助けたいんだ。


