余所者-よそもの-【 3 】




身体が、動かない。
声も、出ない。


地下の売人が、ゆっくりとした動作で顔を近づけて。

頬と頬を擦って、脇から腕を差し込み、私の身体を抱き上げようとしたときだった。


後ろからかかった声に、地下の売人の動きが止まる。



「チカ様。はやくぅ……」

「なに。デック」


「これぇ……俺ぇ、勝てないかも」



ドンッ。

鈍い音が響き、デックの身体がなぎ倒された。


大きな影が、寝室のドアを塞ぐ。



「フゥ……フゥ……」



上下する肩。

綺麗に整えられていたはずの長い髪は乱れ、額からは血が伝う。



――リンコ……さん?




「オイ……なんだァ。オマエら……」




ゴウゴウ、と音が鳴りそうなほど。

重たく、低い声が、床を這った。


空気が、ピリピリと、痛い。




「……オレのダチに、何の用だァ」




リンコは腕で乱暴に口元を拭った。



赤いリップが、無惨に横へ引き延ばされ。

リップの線が走った腕が、シャツの襟首を引っ掴む。


――バリッ、と、シャツが破け、前が大きく開いた。


引き裂くと同時に、中に着こんでいた重たいシリコンバストを剥ぎ取り、


――ドンッ、と、無造作に床へ叩きつけた。



破けたシャツから、上半身が露わになる。

まるで鎧のように隆起した、圧倒的な筋肉。


この場にいる誰よりも大きな身体が、一つの呼吸で更に膨れ上がる。


長いまつ毛の奥で、鋭い眼光が――カッと見開かれた。





「――ブチッ、コロス……!!」