「………」
すると、部屋の外から大きな物音が響いた。
デックの声が聞こえる。
誰かとやり合っている。
目の前のママに呆然としたまま、僕は悟った。
……タイムオーバーだ。
僕は静かに立ち上がり、一人部屋の外に出た。
「どうも朝から……きな臭いなと思ってたんすよ」
そこには、デックを足で押さえつける――野間が、いた。
僕は姿勢を低くして構えた。
まだ、間に合う。
なんとか、する。
野間一人なら、倒せる。
「………」
だけど動くことを躊躇した。
デックを足元で大人しくさせながら、何かを考えるように床を見つめる野間。
やけに落ち着き払ったその仕草に、違和感を覚えた。
……なんだ、コイツ。
僕は侵入者だぞ。


