余所者-よそもの-【 3 】




「………」


――なにを……言ってるんだ?


確かに、彼女の意志が『ここに残る』と言っている。



ここで……守る?

何を……。


ママの……『大切なもの』。



握った拳に、爪が喰い込んだ。



なんで。

どうして。



「ここに居たら死ぬ!」

「それでも」

「命より大切なものなんてない!!」



奥歯がギリ、と鳴る。


こんな状況で、こんな状態で。

一体なにを守ろうって言うんだ。



「千景」


イライラと固めた拳に、ママの手がそっと重なった。

その柔らかい手は、どこまでも果てしなく、優しい。


「前に言ったでしょ」

「……なにを」

「大切なものは、何かと比べられない」

「………」


やめてくれ。



「一緒に行けなくて、ごめんね」



喉が詰まった。


……どうすればいい。

どうすれば、この人を助けられる。