余所者-よそもの-【 3 】



「シドは?」

「ママ」

「シドはどこ?」

「ママ、しっかりして」

「どうして千景なの?シドはどこに行っちゃったの?」


狂った視線。

狂った言葉。


「ねぇ、お腹空いた」

「ご飯……食べさせてもらってないの?」


「ううん。シドが帰ってきたときは食べさせてもらってるよ」


僕は息を飲んだ。


「だからシドが居ないときは、お水しか口にいれるものがなくて」


キン、と頭に嫌な予感が走る。


――もしかして。


僕は床に転がった水の一本を拾い上げて、自分の口に少量を流し込んだ。

ぺッ、と吐き出すと、舌に浸った不自然な後味。


「………」


身体がプルプルと震えた。


水には、ドラッグが溶けていた。



「クソ……野郎……」



紫藤は、彼女に食事もロクに与えず。

この水だけを、与えていた。


あれだけ欲しがっていた女。

いい加減な世話。


理由なんて、一つしかない。



「ねぇ、シドいつ帰るか知ってる?」



――飢えさせて、渇かせて。

最後に自分だけが与える。




ドラッグへの依存を、

自分への依存だと錯覚させるため。