「………」
僕は黙って回答を待った。
「……何を生き急いでる。その壊れた身体、治して何がしたい」
そんなの、決まってる。
「大切な人を迎えに行くんだ」
するとコイツは「ブッ、」と吹き出した。
「はぁ!?」
「なんだよ」
「大切な人?」
「うん」
「お前に?」
「そう言ってるだろ」
「頭の腐ったお前に……?大切な人……だと……?」
真剣な僕に、目の前の男は頭を抱えだす。
「男か。女か」
「オンナ」
「あれか。お前の世界だと……ドラッグずぶずぶの、笑ったら前歯が真っ黒か、そもそも歯がねぇ感じの。そんな感じの女か」
「全然。ドラッグとか何も知らないし、笑ったら天使みたいにかわいい。怒っても天使みたいにかわいい」
「あーそりゃもう天使だ。見えちゃいけねぇものが見えちゃってんだな」
「………」
「お前やっぱこの間のヤク抜きで脳みそだけあの世に逝っちまったんだろ。可哀そうに」
こちらを憐れむその表情に、腹が立つ。
コイツは女どうこうより、僕がそんな感情を持てること自体が、コイツには信じられないらしい。
「あれだぞ?お前は好意を持ってても、相手がそうとは限らないからな?相手にも感情ってモンがあるんだぞ?」
「だから、何」
「お前が迎えに行くと迷惑かもしれない。いや、ほぼ間違いなく迷惑だ。やめとけ」
どうしよう。
殴りたい。


