余所者-よそもの-【 3 】



アパートの軒下に転がっていたバイクに跨り、フルエンジンで向かう。


Z地区郊外のここから、更に街を離れた。

バイクを横切る街灯の数は徐々に減り、やがて静かな森へと辿り着く。


悪路に入る手前でバイクを止めて、徒歩に切り替える。

木々の合間から差し込む鋭い西日を浴びながら、道なき道を急いだ。


見えてきたのは、――旧食品工場。


裏手へと回り、重たい鉄扉の鍵を開け。

搬入口に入り、地下に続く階段を降りていく。

埃っぽい倉庫から、さらに二つ扉を潜った最奥。


ようやく、目当ての後ろ姿が見えた。


ぎしりとチェアの背もたれを軋ませて振り返るなり、ソッコーで怒りのオーラを放ってくる男。



「おおいぃぃ……チカァァァァ………」



――創薬師、鬼切(オニギリ) 獏(バク)。



無精髭を蓄えた小汚いツラ。

まるで似合わない白衣。


この人相の悪さと、よくわからない見た目から、僕はコイツのことを『ヤクザ医師』と呼んでいる。


ただ実際のところ、ヤクザでも医師でもない。

あくまで薬を創る人間。


創薬師を名乗るコイツは、この呼び名を認めていない。