余所者-よそもの-【 3 】



「ねー……今で何日目くらい?」

「10日目」


僕は溜息を吐いた。


「そっか。まだそんだけか」

「今回は長引きそうだな?」

「うん。勘ぐりがヤバい。何度も死にたくなるし」

「今は割と平気そうだけどな?」

「顔を出すタイミングが良い。さすが”ヤクザ医師”としか言いようがない」

「俺はヤクザでも医師でも薬剤師でもねぇ。ほら、さっさと飯食えよ」


トレーごと食事を受け取り、洗面台の上に置く。

スプーンを使って一口を食べれば、襲ってくる嘔吐感。


ダメだ、ダメだ。

こんなのじゃ、全然……ダメだ。


「あー……ほし……」

「あ?」

「おやつ」


衝動的に振り上げた腕。

がしゃんっ!と音を立てて落とした食事を、男はムっとして見下ろした。


「面会はここまでのようだな」


小窓に向かって手を伸ばした僕を、男はまるで汚いものでも見るように一瞥し、ふいと顔を逸らした。



「今回はマジで死ぬかもな?お前。とりあえずコレでも食ってろ、ボケ」



侮蔑の表情で睨み落とすと、男は小窓からパラパラと錠剤を放った。

まるで鳩の餌のように、地面に色とりどりの薬が散らばる。


僕は必死にそれをかき集めて、付いた塵や埃なんて気にせず、ハクハクと頬張った。



「安定剤とビタミンを練ってある。眠剤はまた今度な?」



ぼりぼりとラムネのように噛み砕きながら、僕は小さく頷いた。



「まぁ、せいぜい気張れや」



キイー……と不気味な音と共に、小窓は閉ざされた。