「ねー……今で何日目くらい?」
「10日目」
僕は溜息を吐いた。
「そっか。まだそんだけか」
「今回は長引きそうだな?」
「うん。勘ぐりがヤバい。何度も死にたくなるし」
「今は割と平気そうだけどな?」
「顔を出すタイミングが良い。さすが”ヤクザ医師”としか言いようがない」
「俺はヤクザでも医師でも薬剤師でもねぇ。ほら、さっさと飯食えよ」
トレーごと食事を受け取り、洗面台の上に置く。
スプーンを使って一口を食べれば、襲ってくる嘔吐感。
ダメだ、ダメだ。
こんなのじゃ、全然……ダメだ。
「あー……ほし……」
「あ?」
「おやつ」
衝動的に振り上げた腕。
がしゃんっ!と音を立てて落とした食事を、男はムっとして見下ろした。
「面会はここまでのようだな」
小窓に向かって手を伸ばした僕を、男はまるで汚いものでも見るように一瞥し、ふいと顔を逸らした。
「今回はマジで死ぬかもな?お前。とりあえずコレでも食ってろ、ボケ」
侮蔑の表情で睨み落とすと、男は小窓からパラパラと錠剤を放った。
まるで鳩の餌のように、地面に色とりどりの薬が散らばる。
僕は必死にそれをかき集めて、付いた塵や埃なんて気にせず、ハクハクと頬張った。
「安定剤とビタミンを練ってある。眠剤はまた今度な?」
ぼりぼりとラムネのように噛み砕きながら、僕は小さく頷いた。
「まぁ、せいぜい気張れや」
キイー……と不気味な音と共に、小窓は閉ざされた。


