ここに閉じこもってから、どれくらい経ったんだろう。
シドはよく外出をした。
何もない部屋に、いくつかのペットボトルの水だけを置いて、彼は出ていく。
シドが出かければホッとした。
無理をしない自分でいられる時間だったから。
だけど彼は外から帰ってくると、何度も私の視線と声を求めた。
まるで、離れた時間を埋めるように。
「カナコ」
「なに?」
「今日は何してたんだよ」
「何も」
だって、なにもすることがない。
「なに考えてた」
考えていたこと……。
急に聞かれても。
思い出せない。
首を傾げれば、シドはどうしてか満足げな顔をする。
「もっと俺を見ろ」
「見てるよ」
だって、ここにはあなたしかいない。
「俺を呼べ」
「シド」
「もっと……俺を欲しがれ。カナコ」
悲しいシドと、二人きりの。
なんて淋しい世界。


