――翌日。
ベッドから起き上がり、靴を履いた。
すると後ろからシドに手を掴まれる。
「どこ行く」
「少しだけ、外に」
ここには窓がない。
外の空気を吸いたいと思った。
「駄目だ」
「なんで?」
「………」
シドは私を睨みつける。
その顔を見て、思い出す。
――『俺のそばにいろ』
――『俺から離れるな』
「……シドから離れるのがダメなら、外に連れてってよ」
「いいや」
その低く重たい声に、ブルリと身体が震えた。
「なんか欲しいモンがあるのか?なんだ。何が欲しい」
怠そうに身体を起こすシド。
「……そうじゃ、なくて」
「お前はここに居ろ」
「外に出してくれないの?」
答えを導き出すと、シドは私の手を引いて、ベッドの上で胡坐をかく足の上に私を乗せた。
「言ったろ。守ってやるって」
「それが、どうして」
「お前を奪われる可能性を消す」
「……は?」
「ここが一番安全だ」
「意味が……」
「もう誰にも触れさせねぇ」
そう言って、足の上に私を乗せた彼の腕は、ひどく震えている気がした。
「瑞生にも、地下の売人にも」
どうして彼は、こんなにも臆病になってしまったんだろう。
――シドは、私をリビドーに閉じ込めた。


