余所者-よそもの-【 3 】



「俺を見ろ」

「………」

「カナコ」

「見てるよ」


こんな近くで、あなたのことを見てるじゃない。


なのにシドは腹を立てたみたいに「チッ」と舌打ちをしてから、顔を引き寄せた。

鼻の先を合わせたまま、私を睨みつける。


「カナコ」

「なに」

「カナコ」

「なによ」


なによ。

これ以上、何をしてほしいの。


「俺を呼べ」

「シド」

「………」

「……なに?」


わからない。

もう、わからないよ。


シドは私の顔を何度も自分へ向けた。


触れて、触れて。

何度も要求して。


視線も、言葉も、強引に奪うくせに。

それでも気に食わないと、唇から熱をぶつけてくる。


やがて私から視線を外したシドは、呆れたように言った。



「まぁいい」

「………」




「――全部、俺が忘れさせてやる」




シドのその言葉は、いやに耳にこびりついた。