リビドーのベッドの上。
シドは私を腕に抱いて、愛おしむように髪を撫でていた。
「………」
「………」
彼から香ってくる煙草の匂いを嗅ぎながら。
どうしたって上書きできないAnBarの香りを思い出して、息苦しい。
「なんか、欲しいモンあるか?」
「………」
「お前、なんも持ってきてねぇんだろ」
「………」
「なんでも買ってやる」
「………」
「カナコ」
シドの手が私の顎を掴み、視線を絡めとる。
「なんて顔してやがる」
……わからない。
今の自分が、どんな顔をしているのかなんて。
シドの苛立ったような顔を見返した。
けれど、彼が私に何を求めているのかを考えることも億劫だった。
ただ今日は、心が疲れた。


