恋の終電列車

 いつも通りの満員電車はぎゅうぎゅう詰めで通勤ラッシュの時間帯は特に乗っているのがやっとだ。

 リュックを前に背負う若者、鞄を上に上げる年配のサラリーマン、手を上に上げて痴漢と誤解されないように自分をガードする男の人達。満員電車には色んな姿が見られる。

 いつもパンツスーツ姿にカットソーのブラウスを着ている私は、痴漢に遭いやすい格好をしていないし、ターゲットにはされにくい為、今まで狙われた事はない。

 そんな自分に安堵しつつ今日も職場に向かうのだった。

 職場に着いた私は直ぐに今日SHOWROOMを見学するお客様の予約を確認した。

 「今日は年配のご夫婦のお客様とマンションをリファームする新婚のお客様か…。」

 年配のお客様は歳を重ねて今までの住宅設備を不便に感じてリフォームに踏み込むお客様が多い。大手のハウスメーカーを通してご来店をする事も多く、ハウスメーカーの営業担当者とインテリアコーディネーターの方と同伴して見学に来るお客様も少なくなかった。

 「おはようこざいます。」

 新人の佐倉さんが今日の予約のお客様をチェックしにパソコンの端末を覗きに来た。ご案内の担当者は私も入れて10名。その内正社員は7名で、3名は時間で帰るパートの職員が含まれていた。

 私の働いている職場は大手電機メーカーINADAのSHOWROOMでも大規模な店舗で、売り場も広い。その為ご案内係も多く配置され、新人が研修に入る事も多かった。

 SHOWROOMを内覧するお客様は一日で多くて20組以上が訪れる。特に土曜日、日曜日、祝日は予約が多く入り、休む暇もないほどてんやわんやで忙しい一日を送り、やっと最後のお客様が帰る頃には休憩も取れていない自分に気が付くのだった。