君を待つ。桜の下でいつまでも

酷く冷静だった。

妙に風の強い屋上に、僕はいた。

屋上のフェンスはかなり低くて、跨いで一歩踏み出せば地面へと真っ逆さまだ。

そんな危ない場所に、僕はいた。

下を静かに見つめながら、嘲笑めいた息を吐いた。

少し前はきっと怖いなんて感じなかっただろうに、今は凄く怖く感じる。

それ程までに僕は、あの子に救われて来たのだ。

「……僕をここまで助けてくれて、ありがとう。君には一生分の感謝をしても足りないね」

独り言のように零してから、僕は目を瞑って一歩踏み出した。

風が下から強く吹き付ける。全身で風を浴びながら、不思議と穏やかな気持ちでいた。


君があの時僕の手を引いてくれなかったら、もっと早くこうなっていただろう。

君は僕に、楽しくて明るくて、輝いている世界を見せてくれた。

君はきっと、泣いて泣いて自分を責めてしまうと思うけど、そんな必要はない。

元々こうなる運命だっただけだ。

誰も悪くない、仕方なかっただけなんだ。