「俺?ひみつだよ。」

「あ、そ!
じゃあ、触らないで~」

「俺、ぷくちゃんの初めてのキスを
見てしまったわけか?」

「あんなのキスじゃない!」

私は頭にきた。
「どうせ、千鶴のことしか考えてないんでしょ。
なんで私が被害者なのに
加害者扱いか訳わかんないし…」

素良はまだ背中に覆いかぶさっているから

「触るな!素良!!」
と怒鳴った。


「お前が悪いんだ。」

いきなり態度が表モードに切り替わった。

私をまっすぐ立たせた。


「芳樹に隙をみせるからだ。
だから、ばれたんだよ。」

そしてきつく抱きしめた。


「俺のぷくちゃん。
大ピンチだし…」


  意地悪な素良


体を離し私を覗き込む。


「ほっぺがふくれてるぞ~」

人差し指で右の頬を押したら


ぶ~


って鳴って、大笑いする素良


私を抱きしめる素良は
私をおんななんて思ってない


寂しがり屋の子供が
抱きしめるぬいぐるみ

ぬいぐるみは
けっしてしゃべってはいけない


「あなたが好きって・・・・」