爆豪くん!どっちなの???



桜の花びらが容赦なく吹き付ける、中学校の卒業式の帰り道。
手元にあるのは、丸まった卒業証書。
​私、安藤彩葉は、幼馴染の爆豪勝己と並んで歩いていた。
いつも通り不機嫌そうな顔をして歩くコイツを見ていたら、ふと、懐かしい記憶が蘇ってきた。
​そういえば……小3?4?の時、コイツにめちゃくちゃ直球で告白されたっけ。
当時はそんな余裕なんてなくて普通に断っちゃったけど。名前知らないレベルだったし。

​「ねーえ、爆豪」
「あ? なんだよ」

話しかけただけで怒んないで?

「そーいえばさ、爆豪って昔、私に告白してくれたじゃん?」

​ちょっとしたからかい心と、ほんの少しの期待を込めて言ってみた。(期待というのは面白い反応のことです!作者より)
すると爆豪は、一瞬ピキッと固まったあと、バツが悪そうにそっぽを向いた。

​「……あー。あったな、そんな事も」
「覚えてるの?」
「忘れるわけねぇだろ。……まぁ、昔のことだから恥ずかしいな」

​フッと鼻で笑って、大したことなさそうに言う爆豪。

​(あれー???)

……待って。思ってた反応じゃないっ…。
昔のことだから、恥ずかしい?
それって、「今はもう、なんとも思ってない」ってコト……!?
​嘘でしょ…!!!

もう少し面白い反応してくれると思ったのに…!()
​私は、嘘じゃないけど本音でもない言葉をとっさに口にしていた。

​「そうなんだね! ……あ、でもね、実はわたしも、少し爆豪のこと好きなときあったんだよね」

​嘘じゃない。だって尊敬してる。でも緑谷いじめてんのはよくないけど。爆豪センスだけはあるもんなー。ていうかこれはどう反応するのか気になる!

後ろを向くと​爆豪は目を見開いて、ガタッと足を止めた。

「……マジか?」
「うん」

シーン…。

​え…、なに?急に黙らないで?いつもうるさいから逆に怖いんだけど?

​「……あっ、家だ。またな」
「うん、じゃあ」

​ガチャ、と家の玄関を閉めた瞬間、私はある人の名前を呼んだ。

「ただいまー黒禰ー!」
「おかえり彩葉。…あっ、そうそう。この前彩葉言ってたけど雄英行くんだろ?それ英語が壊滅的すぎてそれで落ちるんじゃないか?(www)」
「一言よけいですよー。他で点とるし…。あー、あとそれなら英語教えて?」

私はとりあえず爆豪が自分を好きじゃないっていうことを考えないようにして会話を始めた。



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​その頃。

​「ただいま」も言わずに自分の部屋に駆け込み、鍵を閉めた爆豪は、限界を迎えていた。
下から母の「ただいまくらい言いなさーい!」という怒鳴り声が聞こえてくる。
​そんなことは気にせずカバンを床に投げ捨て、頭をぐしゃぐしゃとかきむしる

​「安藤が……?俺のことを……?いつ……?嘘だろ…?」

​小3でフラれて以来、ずっと「あいつに見合う男になって、今度こそ振り向かせてやる」と心に誓って、一日たりとも忘れたことはなかった。
さっきの「昔のことだから恥ずかしい」なんて、フラれた過去が恥ずかしくて強がっただけだ。
​それなのに、あいつはサラッと「好きなときがあった」なんて言ってきた。しかも『昔のことだけどね』と添えて。


​「……俺は片時もなく安藤のことが好きすぎるのに???????」

​お互いに「相手はもう自分を好きじゃない」と大勘違いした。