マスコミは晴海先生が勝ったというのに、先生をボコボコにしていく。
ーーー「男のくせに」ーーー
という、回し言葉を使って。
新聞、テレビ、ワイドショー、ユーチューブなんかも。
そんなのおかしいって、何度思って布団の中で、悔し泣きをしたか、計り知れない。
男の人だからって、全員の女性を愛するという話が、無理があると言うことをマスコミは知らないのか。
ただただ、流れる情報に耳を傾ける事があるんだとすれば、そればかり。
百合は相変わらず背中をさすって、涙を流す私を気にしなくていいと、話してくれたけれど。
希は、私を冷静に見つめたまま、授業中も、放課後も知らんぷり。
私と希の関係は、花畑に亀裂が入るみたいに不穏な空気を纏っていて。
その様子を百合は感じて、無理をさせている。
そんな、日々背負いながら私は学校に来ていた。
これはーーー私の責任でもあると、教育委員会さんと話し合って、私のやれることをした。
そう、晴海先生が働けるように皆に手紙を書いてほしいと頼みでたのだ。
一言、応援の言葉をかけてくれるそれだけでいい。
そう呼びかけて、クラスにかごを設置しようとしていたときだった。
「まーた偽善者ちゃんが、なにかやってるよ」
隣のクラスの意地悪マドンナさん。
凛ちゃんがやって来た。
カゴの前に立ったかと思うと、蹴飛ばしてバラバラになった、一言カード……。
「なんで、こんな事するの」
大勢の仲間と笑っていた、凛ちゃんに向かって話したら、両手を押されて突き飛ばされた。
尻餅をついた矢先に、目先を見ると鬼の形相をした凛ちゃんがいて。
「アンタのせいで、晴海先生は居なくなったんじゃない」
と、啖呵を切られてしまう。
「アンタが黙認していたら、今頃マスコミにも叩かれず、転勤して平穏に家族と暮らせる道があったはずでしょ?
どうして、証拠写真なんてわざわざ、提出したわけ?」
「そんなの、事実を明らかにして、もうこれ以上校長先生の思い通りにさせないため。
それと傷つく人を増やしたくないからだよ」
「それって、アンタのエゴじゃない?
だって、考えてみてよ。
マスコミが叩いてるのは、男である晴海先生だよ?
この情報を流せば、被害者が傷つく事ぐらい分かってるでしょ?
馬鹿な私でも分かったのに、なんでわざわざこんな状況に持っていくような真似をしたわけ?
自己満?」
まるで私が、わざと晴海先生を陥れたみたいな言い方で、腹の虫がおさまらない。
なんで?
なんで正しいことをして、そこまで言われないといけないの?
間違っていることを、間違っているって言うと他の誰かが傷つくことだってある。
それは、分かってる。
だけども、それで黙っていたとしても。
その傷は、やられた本人は消えたことにはならない。
問題を解決するために、動いているわけで誰も責めるために、やっているわけじゃない
「あーあ。
私の立場だったら、言わずに先生のそばに黙って立っていたのになぁ」
と凛ちゃんは、スカートを半分折った。
この瞬間、私は凛ちゃんは本当は晴海先生の事を思って発言しているわけじゃないって感じた。
晴海先生が好きだから、晴海先生の心の隙を狙って、漬け込もうとしているんだと。
そう感じてーーー。
私は、飛びかかっていたんだ。
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