同僚のイケメン眼鏡教師は、私にだけ甘い独占欲を向けてくる


「七実先生、俺の話、聞いてた?」
「は、はい!もちろんです。」
「ほんとに?なんかぼーっとしてたみたいだけど。顔も赤いし……大丈夫?」


そう言って、三沢駿(みさわしゅん)先生が私の顔を覗き込んだ。
まさか、あなたの眼鏡をずっと眺めてときめいていました、なんて言えるわけもなく。


「だ、大丈夫です。」
「そう?話進めるけど、今度の体育祭で七実先生には借り物競走に出てもらうから。それでいい?」
「わかりました。」
「じゃ、そういうことで、よろしく。」

三沢先生は眼鏡をクイッと上げ、切れ長の瞳を細めた。



私、青木七実(あおきななみ)は、私立東林(とうりん)学園中等部で国語の教師をしている。
まだ2年目の新米教師だ。

受け持ちは2年A組の副担任。
数学教師の三沢先生が担任で、本来なら私がしっかり補佐しなければならないのに、いつも迷惑ばかりかけてしまう。

初めの頃、生徒達からは名前が七実だからか「ナナちゃん」と呼ばれてからかわれていた。
すると三沢先生が、いつもの柔らかい雰囲気とは違う厳しい声で言い放った。

「教師の名前を軽々しく呼ぶのは禁止する。今度言った生徒は校庭30周走らせるから、そのつもりでいろ。……これ、冗談じゃないからな。」

普段はフレンドリーで、生徒達に慕われている三沢先生が断固とした口調で言ったからか、
その後私を「ナナちゃん」と呼ぶ生徒はひとりもいなくなった。

「ありがとうございました。」
私が頭を下げると、三沢先生は視線を斜め上に向け、ぼそりと言った。

「別に。俺が嫌なだけだから。」
「え……?」

そんな思わせぶりな言葉を、さらっと言ってのける。
そのたびに、私の胸の鼓動は早くなる。


三沢先生は背が高くてスタイルが良く、細い金属パーツの縁なし眼鏡で隠しているけれど、かなりのイケメンだ。

面倒見が良く、生徒の声をちゃんと聞いて、心のこもった指導をしている姿を間近で見ていくうちに、私の三沢先生への想いは、尊敬から憧れへと変わっていった。

でも、それは三沢先生が眼鏡を掛けているからかもしれない。
この想いが恋なのか、それともただの眼鏡フェチなだけなのか、まだ自分の気持ちがハッキリしない。

でも、三沢先生のそばにいると胸がドキドキする……。
これだけは確かだ。