「す、すみませんっ」
すぐに離れようとしたけれど、跳び箱が邪魔で動けない。
三沢先生が、私の両肩を正面から支えた。
眼鏡の奥の瞳が、熱を帯びている。
その真剣なまなざしから、一秒も目をそらせなかった。
「さっきの借り物競走……動けなくなってただろ。」
「……はい。」
「どうして俺のところへ来なかったの?」
問い詰めるというよりは、ただ知りたいだけ、という気持ちが伝わってきた。
「俺じゃ、嫌だった?」
「違います!……その逆です。」
「逆?」
「……恥ずかしかったんです。でも……他の先生のところに行くのはもっと嫌で……。」
溢れる想いが抑えきれず、気がつくと言葉にしていた。
「好き……です。」
言った瞬間、自分に驚いてしまい、思わず口を押さえた。
胸の鼓動がうるさく響く。
三沢先生は驚いたように私をみつめ、ゆっくりと眼鏡を外した。
そして、その眼鏡を私の手に触れさせる。



