【青春BL】舞台ではどうか、好き好きオーラをださないでください。

 そうしてカイの分身影にワイヤーされるシーンの撮影が始まった。持ち上げられるために快くんの手が僕の脇と腰辺りに触れる。快くんの手から放出される暖気が僕の全身に伝わってきたからか、全身が熱くなる。

 軽々と持ち上げられた。とても、それはもう本当にドキドキしすぎた――。

 遊園地での撮影も無事に終了。漫画などの娯楽時間をなくしてシーンを変えたり増やしたりして台本の中身を整理した。そしてそのままの時間の使い方で稽古も頑張った。今までこんなに頑張った感を得た記憶はない。快くんの努力の影響を受けたから、こんなに頑張れた。新しく増えた快くんとの殺陣も一緒に頑張ったから良くなった。

 この調子で本番はきっと順調だな!と想像できたのに、快くんとの事件は本番直前に起きた。



 ついに今日は高校の文化祭で舞台本番の日。午後から始まる。部室で着替えると先に他のメンバーは教室から出ていった。僕と快くんがふたりきりになる。

 快くんが僕の顔を穴が空くほど見つめてきた。

「快くん、大丈夫? 何かあった?」

 真剣な眼差しだったから芝居について気になることがあるのかな?

「星くん……」
「何?」
「舞台が成功したら、ひとつだけお願いを聞いて欲しくて……」
「うん、分かった! 快くんはめったにお願いごとしてこないから何でも聞く。内容がすごく気になるなぁ……どんなこと?」

 僕の質問に答えず、なぜか頬を赤らめる快くんは廊下に向かって歩いていく。何も言わずにここから出ていくのかな?って背中を見つめていたら、ドアのところで振り向いた。僕たちは目が合う。

 そして、今にも泣きそうな、頑張って気持ちを伝えてくれたのだなと思える雰囲気で快くんは言った。

「星くんが好きだから、付き合って欲しい!」と。

 言葉を部室に残して快くんは去っていった。

 はぁぁぁぁ????
 えぇぇぇぇ????

――告白?

 快くんが僕のこと好き?
 えっ? 少女漫画の急展開。過去から今までで、なんか恋の伏線あった?

 いきなり緩やかだった物語のジェットコースターが勢いよく回転してキャー!と思い切り叫びたくなるような展開。しかし、なぜ本番前の今なの? 気が散るからこのタイミングはやめて欲しかった。せめて舞台後にしてよ……

 ずっと頭の中だけで叫びながらフリーズしていると、山下くんが「もう始まるよ」と、迎えに来てくれた。気持ちを舞台集中の方へ入れ替える意識をしながら舞台袖に向かった。 体育館が薄暗くなると床やパイプ椅子に座って観る準備をしてくれている生徒たちの声は静まった。ついに、僕と快くんが初共演する芝居の本番が始まった!

 本番前に色々、もう本当に色々変わりすぎたし大きなハプニングもあったけれども、とにかく頑張ろう。