【青春BL】舞台ではどうか、好き好きオーラをださないでください。

「なるほど……物語を一本の木に例えると、枝分かれした細かな設定部分がさらに増えて深みが増すかもだなぁ。でも……」

 僕は役者全員の顔を順に見る。やり始めたばかりの殺陣はギリギリ間に合うかなって感じで不安要素満載だし、せっかくまとまってきたものを変えるなんて。僕はまとまってきた芝居が本番近くに色々変わるのが苦手だ。「セリフが変わります~」と言われて本番当日に焦る夢を何回もみるほどに。

「出来る!」

 山下くんがそう言うと、他のメンバーも頷いた。普段なら無理かもと言いそうな部員たちだけど、撮影開始時には覚醒モードに入っていたから自信満々で前向きな様子。

 そして、その時だった。重要な言葉を快くんは放ったのだ。

「やっぱりきちんと殺陣、星くんとやりたい。戦いたい。今のままじゃ、なんだか不自然だから……」と。

 快くんの願いが――芝居に対して真剣に向き合ってくれているのは本当に嬉しいが、そこも変えないとなのか……あちこち台本変えないといけない雰囲気で頭が混乱してくる。

「とりあえず、今やるべき事をやろうぜ!」と、僕の味方ダガワ役である小田川くんが元気よく言い、同じく味方であるカモト役の仲本くんが頷いた。

 今やるべきことは、快くんワイヤー。

「快くん、ワイヤー時の衣装はどうしたら……」

 僕は呟いた。

 その時、ふと、先生の服装が目に入った。昼は白い服だったのに、今は黒地に星が散りばめられているゆったりとした長袖チュニックに、ゆったりとしたデザインの足元まである黒いパンツを履いている。先生は撮影現場でも影でいるために、昼夜用の影服を分けて着ていたのだ。しかも黒い手袋までしていた。

「シャドウ先生が着ているその服、今、撮影でお借りできますか?」
「えっ? うん、いいけど」
「今日の星空と合った服装、ナイスです!」
「あ、ありがとう。今日の夜の天気予報は晴れだったからね!」

 快くんは急いでシャドウ先生の服に着替えた。筋肉あるのにレディースの服も着こなすなんて、本当にモデルのようで、かっこいい。