【青春BL】舞台ではどうか、好き好きオーラをださないでください。

「いや、快くんはお芝居興味ないんじゃないかな? 実は中学の時に一回誘ってみたけれど断られてるんだよね。しつこく誘わない方がよいと思うな」

 日々の出来事を考えると、快くんに対しては積極的な考えにはなれない。

「そうなんだ。でも今誘ったら考えが変わっているかもしれないよね」

 僕の答えを遮り、小田川くんが前向きな発言をしてきた。

 僕以外のメンバーで、快くんはあんな役こんな役が似合いそうだなと、勝手に話が盛り上がりだした。
 そしてしまいには……。

「今から声かけるの緊張するけれど、柴宮くんを呼んでくるね」と、全員で行ってしまった。

――何故そうなる。

演劇部のメンバーは普段消極的だけど、妄想事になるとみんな別の人間が乗り移ったかのように積極的な人間へと進化する。自分もだけど。

部室でひとり、ぽつんとしながら「うっわー、気まずいなぁ」と、言葉をそっと漏らした。

 どうせ誘ってもはっきりと断られて、ここに快くんは来ないだろうと思っていたのに、メンバーに囲まれて……来た。

 快くんはいつの間にか僕の身長を越しすぎて、今は長身なイケメンだ。僕たち演劇部のメンバーもそれほど小さいわけではないけれど、快くんは特に身長が高く、光り輝いている。僕たちの中に混ざると僕たちが引き立て役のようになる。今もまるで快くんは、ファンに囲まれている売れっ子アイドルのような雰囲気だ。快くんはそんな役も似合いそうだなと妄想だけは膨らむ。

「快くん、どうして来たの?」と僕は様子を伺うように、慎重に質問した。何も答えず僕を見つめる快くん。「いいって!」と、あまえんぼう担当の手越くんが、嬉しさでテンション上がったからなのか、快くんの手を握り、微笑みながらそう言った。

 快くんと手越くんの繋がっている手が気になる。じっと見つめていると胸の辺りに何か鋭いものが詰まるような、なんと言えば良いのか分からないけれど、ちょっと苦しくなった。

「萌木くん、どうしたの?」と、手越くんの声で僕は我に返る。

「いや、何がいいのかな?って思って」
「柴宮くんが、演劇部に入るってことだよ」
「えっ? 快くん、無理やり誘われた? 無理しなくて大丈夫だよ?」

 こんな短時間で快くんが入部する話になっているなんて、おかしい。僕はじっと快くんを見つめる。

「無理、してないし……」

 どうしよう。快くんが入部してくれることに対して、嬉しい気持ちも大きいけれど大丈夫なのかな?って気持ちもある。緊張も込み上げてきた。