【青春BL】舞台ではどうか、好き好きオーラをださないでください。

「はい、こんにちは。演劇部部長の山下でございます。全員お集まりになられましたでしょうか? 本日は晴天で――」と、バスガイドみたいな雰囲気をまとう山下くんが言う。演劇部のみんなは芝居をしていない時は人前で話すのが高確率で緊張してしまうタイプなので架空の人物になりその場を乗り切ることもある。

 今日は借りたバスに乗り遊園地に行く。今は三時過ぎ。

バスの真ん中辺りの窓側に座っていると、横の席に快くんが来た。一緒に筋トレをした日からかな。僕の隣に快くんがいてくれることが多くなった。

一緒に深層筋を鍛えることにより絆は深まったのか。筋トレは素晴らしい。でもなぜか今、快くんが隣に座った瞬間から心臓の動きが走った時みたいに早くなり、謎のドキドキが起こった。そういえば合宿の時、隣の布団で快くんが寝ていた時も似たようなドキドキの感覚があった気がする。近いと謎のセンサーが反応してしまうのかな。

 部長山下くんが人数を確認すると、バスは出発した。僕は快くんに何か話しかけようとしたけれども、特に何も思い浮かばず。僕たちは遊園地に着くまで無言だった。ちなみに遊園地メンバーも合宿メンバーとほぼ一緒。

 僕たち部員は演劇のための基礎レッスンもするけれど、ほとんど妄想話からの即興芝居をして遊んでいる感じ。なのでこういう日は特別感があり、やっぱり気持ちが高まりいつもよりも自称明るい性格な男子高校生になれる気がする。

 バスで一時間ぐらい走ると、遊園地に着いた。五時から貸切で撮影できるのでその時間までは下見。

 今回演出などを担当してくれる映像研究部の綾小路くんと動画部の美桜さん、そして僕たち演劇部のメンバーを中心としてどこでどんなふうに撮るかなどを話し合いながら遊園地を一周した。そしてついに貸切の時間が。それぞれ衣装に着替え、ヘアメイクもしてスタンバイする。