無言で見つめあったままでいると、映像研究部の綾小路くんが「質問があります」と挙手した。
「どうぞ」
「あの、映像の演出で、わかる人だけわかるように、におわせたらだめですか?」
山下くんが許可を出すと綾小路くんが不思議な質問をした。
「におわすとは?」
僕は気になり、綾小路くんに尋ねた。
「におわすとは、なんて言えば良いのでしょうか。直接は言葉にしないけれど、視線やさりげない仕草で気があるように見せるというか……察してって感じでしょうか」
「気がある? 誰が誰に?」
「柴宮くんが、萌木くん?」
「いや、僕たちライバルだし」
「そう、ですよね……まぁ、まずは皆さんの魅力を大放出しますので安心していてください」
僕が否定した時、綾小路くんの視線が泳ぎすぎていたから『におわす』について諦めきれずになんかやりそう。だけど綾小路くんはセンスの塊のような人で、良い映像になりそうだなとは思う。とりあえず任せてみよう。
「綾小路くん、とりあえず確認をしておくけれど、これはBLではないからね」
「も、もちろん分かってますよ~」
快くんが気になり、チラッと見ると台本をしばらく真剣に眺めていた。思い詰めたように。
*
「じゃあ、殺陣を練習してみよう」
後日の部活時。山下くんがそう言うと全員立ち上がり、僕は快くんと向かい合わせになった。ゆっくりと動きを確認しながら合わせ、最初は順調だったけれど、僕の腕にこつんと棒が当たった。一気に青ざめる快くん。
「ご、ごめん」
「大丈夫だよ、全然痛くないし」
快くんの手が僕の腕に触れる。快くんの視線は腕から僕の顔に。青ざめて、すごく心配しているような表情だ。
「ご、ごめん」
「今のは動きを間違えた僕が原因だし、本当に大丈夫だから」
無言で僕の顔を見つめてくる快くん。
「大丈夫かい?」と、他の部員がわらわらと集まってきた。僕は「大丈夫! 練習続けようか」と、何事もなかったかのように立ち上がる。
なんと、その日から快くんは部活に来なくなってしまった。
スタッフ集め、本読み、稽古……順調に進むと思っていたけれど、まさかこんなことになるなんて――。
「どうぞ」
「あの、映像の演出で、わかる人だけわかるように、におわせたらだめですか?」
山下くんが許可を出すと綾小路くんが不思議な質問をした。
「におわすとは?」
僕は気になり、綾小路くんに尋ねた。
「におわすとは、なんて言えば良いのでしょうか。直接は言葉にしないけれど、視線やさりげない仕草で気があるように見せるというか……察してって感じでしょうか」
「気がある? 誰が誰に?」
「柴宮くんが、萌木くん?」
「いや、僕たちライバルだし」
「そう、ですよね……まぁ、まずは皆さんの魅力を大放出しますので安心していてください」
僕が否定した時、綾小路くんの視線が泳ぎすぎていたから『におわす』について諦めきれずになんかやりそう。だけど綾小路くんはセンスの塊のような人で、良い映像になりそうだなとは思う。とりあえず任せてみよう。
「綾小路くん、とりあえず確認をしておくけれど、これはBLではないからね」
「も、もちろん分かってますよ~」
快くんが気になり、チラッと見ると台本をしばらく真剣に眺めていた。思い詰めたように。
*
「じゃあ、殺陣を練習してみよう」
後日の部活時。山下くんがそう言うと全員立ち上がり、僕は快くんと向かい合わせになった。ゆっくりと動きを確認しながら合わせ、最初は順調だったけれど、僕の腕にこつんと棒が当たった。一気に青ざめる快くん。
「ご、ごめん」
「大丈夫だよ、全然痛くないし」
快くんの手が僕の腕に触れる。快くんの視線は腕から僕の顔に。青ざめて、すごく心配しているような表情だ。
「ご、ごめん」
「今のは動きを間違えた僕が原因だし、本当に大丈夫だから」
無言で僕の顔を見つめてくる快くん。
「大丈夫かい?」と、他の部員がわらわらと集まってきた。僕は「大丈夫! 練習続けようか」と、何事もなかったかのように立ち上がる。
なんと、その日から快くんは部活に来なくなってしまった。
スタッフ集め、本読み、稽古……順調に進むと思っていたけれど、まさかこんなことになるなんて――。



